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Pro Tools 2022.6がリリースされました。 このアップデートでは、多数の新機能と拡張機能が導入されています:

  • Dolby Atmos の改善
    • 最適化されたADMエクスポート機能
    • Dolby Atmos® リレンダリングのオフライン・バウンス
    • インポート・セッション・データを含むADMファイルへのリンク
  • タイムコード・ビデオ・オーバーレイ
  • センド・デフォルトをユーザー設定の値に
  • MIDIワークフローの改善点
    • クオンタイズの拡張機能
    • MIDIクリップをダブルクリックして、ドック式MIDIエディタをデフォルトで開く
    • グリッド/ナッジ表示を自動的に拡張
  • Pro Tools | Sync X – スタンドアロン・モード

 

最近のリリース情報は、新しい記事の「What’s New in Pro Tools」にアクセスしてください。
新機能の詳細な情報については、「What’s New in Pro Tools 2022.6」ガイドをご覧ください。

 

Dolby Atmosの改善 (Pro Tools Ultimate Studio)

Pro Tools 2022.6では、Dolby Atmosのワークフローがかなり速くなりました。Dolby Atmosのオフライン・バウンス・リレンダリング機能を導入し、ADMバウンスにかかる時間を劇的に改善し、WAV ADM BWFファイルにリンクする機能を追加しました。

Dolby Atmos リレンダリング

ADMを生成し、それをDolby Atmosレンダラーにインポートしてから、リレンダリングのエクスポートを個別に行う手順を踏まずに、5.1、LoRo、さらにはバイノーラル・ヘッドフォン・ミックスなどのチャネルベースのミックスをすばやく生成できるようになりました。これは、レビュー用の一時的なミックスを作成する場合に便利です。さらに、バウンスする際、リレンダリングとADMファイルの両方を同時に生成できます。両方のプロセスが同時に行われるため、エクスポートのプロセスで最も時間がかかる部分の一つであるパン・オートメーションを全て分析し再利用しながらDolby Atmosミックスに変換することができるようになるので、エクスポートにかかる時間への影響は最小限です。さらに、エクスポート・プロセス自体のパフォーマンスも大幅に向上しました。プロセスの概要については、このビデオをご覧ください:

2022.6では、複合ベッドで構成されるミックスのエクスポートをサポートするための、より高度な機能も導入されています。さまざまなグループ(ダイアログ、音楽、FXなど)に複数のサブミックスがあり、それらのミックスが最終的に組み合わされて1つのベッドに送られる場合、以前は構成された個々の要素のみを含むリレンダリングを生成することはできませんでした。これは、信号がレンダラーに到着する時点では、サブミックスが既に一緒にミックスされてしまっているからです。今回のリリースでは、各Dolby Atmosグループが同じアウトプットとベッドの割り当てにマッピングされている場合、それぞれを異なるバスに割り当てることができるようになりました。これにより、Pro Toolsはエクスポート時に、出力段階でマージされる前に、任意の信号をオフにすることが可能となり、レンダラーに送られる各ベッドに必要な入力のみを利用しながら、グループ毎にそれぞれのベッドを関連させることが可能となります。

 

 

2022.6では、複合ベッドで構成されるミックスのエクスポートをサポートするための、より高度な機能も導入されています。さまざまなグループ(ダイアログ、音楽、FXなど)に複数のサブミックスがあり、それらのミックスが最終的に組み合わされて1つのベッドに送られる場合、以前は構成された個々の要素のみを含むリレンダリングを生成することはできませんでした。これは、信号がレンダラーに到着する時点では、サブミックスが既に一緒にミックスされてしまっているからです。今回のリリースでは、各Dolby Atmosグループが同じアウトプットとベッドの割り当てにマッピングされている場合、それぞれを異なるバスに割り当てることができるようになりました。これにより、Pro Toolsはエクスポート時に、出力段階でマージされる前に、任意の信号をオフにすることが可能となり、レンダラーに送られる各ベッドに必要な入力のみを利用しながら、グループ毎にそれぞれのベッドを関連させることが可能となります。

 

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インポート・セッション・データを含むADMファイルへのリンク

今回のリリースでは、セッション・インポート時にWAV ADM BWFファイルにリンクする機能を追加しました。プレビュー用にADMファイルを開いたり、すばやく編集して再エクスポートしたりするだけの場合、新しいメディアをトランスコードするよりもはるかに効率的です。但し、リンクされたADMファイルをリアルタイムでインターリーブ解除すると、ディスクとCPUに負担がかかる場合がある為、ワークフローによっては、これまで通りトランスコードして作業した方が良い場合もありますので、ケースに応じて使い分けてください。

 

タイムコード・オーバーレイ (Pro Tools Ultimateのみ)

タイムコードがビデオ・ウィンドウまたはハードウェア・クライアント・モニターに表示されるようになりました。これにより、制作者やエンジニアが映像を操作するときにセッションの位置を簡単に確認できます。こちらのビデオをご覧ください:

 
 

タイムコードは、バウンスされたQuickTimeファイルに含めることもできるので、レビュー用にファイルを渡し、ミックスの特定の部分について話し合う際に役立ちます。

タイムコードの設定は簡単です。複数のプリセット位置を使用して画面の周囲に映像を配置し、サイズ、テキストの色(黒または白)、および背景の不透明度を変更できます。有効な状態かどうかは見てすぐにわかる上、ビデオ・トラックから直接簡単に表示および変更でき、有効化ボタンをクリックするだけで設定をすぐに呼び出せます。

 

センド・デフォルトをユーザー設定の値に

ワークフローにおいて、小さな事々が、時折大きな変化に導くことがあります。以前は、初期設定を使用して、新しいセンドがユニティー・ゲインか-∞で作成されるかを決定できました。センドを追加するときにすぐに試聴できるのは良いですが、ユニティー・ゲインだと大きすぎるケースもあります。今回のアップデイトでは、新しいセンドが作成されるときに使用されるレベルを任意に設定できるようになりました。

 

MIDIワークフローの改善点

クオンタイズの改善点

Pro Toolsにはすでに強力なMIDIクオンタイズ機能がありますが、Pro Tools 2022.6に追加された機能により、さらにすばやく使いやすくなりました。以前のPro Toolsバージョンでは、クオンタイズ値を変更する毎、[イベント操作]>[クオンタイズ]を開き、クオンタイズ・グリッドメニューから任意の値を手動で選択する必要がありました。クオンタイズ・グリッドを頻繁に変更する場合、これは面倒です。

Pro Tools 2022.6の新しい改善により、クオンタイズのワークフローがより能率化されました。 クオンタイズ・グリッドのドロップダウンメニューから「小節|拍グリッドに従う」を選ぶと、タイムライン・グリッドをクオンタイズ値として使用でき、MIDIノートは現在使用している小節|拍グリッド解像度にクオンタイズされます。また、新しいショートカット Command + Option + 0(Mac)、または Ctrl + Alt + 0(Windows)を使用して、クオンタイズ操作をトリガーできます。タイムラインのグリッド線は、ノートが移動する場所の視覚的なガイドとして機能するため、これは直感的に使える方法です。

 

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グリッドはショートカット(Shift + /+)を使用して変更することもできるため、クオンタイズ値を変更してから、マウスを使用せずにクオンタイズすることができます。

Pro Toolsには、タイムラインでMIDIを操作できる3つの主要な場所があります:編集ウィンドウのタイムライン、ドック式MIDIエディタ、およびMIDIエディタ・ウィンドウです。これらは、それぞれ独自のグリッド設定を行えます。「小節|拍グリッドに従う」は、現在使用しているウィンドウの小節|拍グリッド値を使用します。MIDIエディタ・ウィンドウで作業している場合、クオンタイズはMIDIエディタ・ウィンドウのグリッドを使用します。編集ウィンドウのタイムラインで作業している場合、クオンタイズはそのグリッドを使用します。

 

 

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編集ウィンドウのタイムライン

 

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ドック式MIDIエディタ

 

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MIDIエディタ・ウィンドウ

 

Pro Toolsのクオンタイズ機能は、グリッドに正確にクオンタイズする以上のことができることに留意してください。 強さ、スウィング、オフセットなどを設定して、希望どおりの結果を得ることができます。これらの追加パラメータはすべて、「小節|拍グリッドに従う」オプションとショートカット・コマンドを使用するときに適用されます。

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MIDIに適用されるPro Toolsクオンタイズに加えて、エラスティック・オーディオ・イベントでも使用できます。

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MIDIクリップをダブルクリックして、ドック式されたMIDIエディタをデフォルトで開く

細かいMIDI編集は、Pro Tools内のいくつかの場所で行うことができます。その1つは、編集ウィンドウの下部で開くことができる、ドック式MIDIエディタです。Pro Tools 2022.6では、MIDIクリップを編集ウィンドウでダブルクリックすると、ドック式MIDIエディタが開くように設定できるオプションが、初期設定に追加されました。

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これは1つのメインウィンドウだけで作業する場合に使用するオプションです。この画面構成では、編集タイムラインは主にMIDIクリップのナビゲートと選択に使用し、ドック式MIDIエディタでは詳細なMIDI編集を行うことができます。ウィンドウが少ないと、作業により集中することができるでしょう。ドック式MIDIエディタを閉じるには、ショートカットの Control + Option + Shift + =(Mac)、または Start + Alt + Shift + = (Windows)を使用します。このショートカットで、ドック式MIDIエディタを開くこともできます。

 

グリッド/ナッジ表示を自動的に拡張

以前のPro Toolsバージョンでは、MIDIエディタ(ドック式およびウィンドウ)には、グリッド/ナッジ表示を単一のユニット、つまりどちらかのみを表示するツールバー・オプションがありました。しかし、実際には多くのワークフローで両方の値が同時に必要となる場合があります。Pro Tools 2022.6では、グリッド値またはナッジ値のいずれかを表示するか、スペースがある場合は自動的に表示が拡張され、両方の値を同時に表示するようになりました。

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Pro Tools | Sync スタンドアロン・モード

Pro Tools 2022.6リリースに含まれるファームウェア・アップデートにより、Pro Tools | Sync Xにスタンドアロン・モードが追加され、Pro Toolsが起動および接続されていないときに自動的にアクセスできるようになりました。スタンドアロン・モードで変更を加えた場合、Pro Toolsの起動時にセッションで変更を反映できます。


 

 

スタンドアロン・モードでは、Sync Xのフロントパネルのディスプレイの右側にある矢印ボタンで個々のメニュー項目を選べるため、デバイスを使用して受信タイムコードを生成または変換し、接続されているすべてのデバイスのマスタークロックとして機能できます。メニュー項目を選択するには、Action (アクション) ボタンを押します。スタンドアロン・モードは、Sync Xのフロントパネルから完全に操作することができます。

 

利用方法

Pro Tools 2022.6は、有効なサブスクリプションまたは永続版ソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザーにご利用いただけます。Avid Link、もしくはAvidアカウントから更新することができます。Pro Toolsのソフトウェア・アップデート + サポートプランを更新する必要がある場合、または最新バージョンを入手したい場合は、こちらをご覧ください。また、Pro Toolsを初めて使用する場合は、30日間の無料トライアルで最新バージョンを試すことができます。このリリースの詳細については、Avidアカウントで利用できる新しいドキュメントを参照してください。

 

 

 What’s New in Pro Tools 日本語ガイド (2022年6月版)

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Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。

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Chris Winsor and Daisuke Naito
Chris has spent the last 14 years testing and designing solutions at Avid concentrating on audio post workflows, while Daisuke has a music production and recording studio background, and has been involved in Pro Tools development for nearly 20 years.
HK