Pro Tools 2022.9 ソフトウェア・リリースには、数多くの主要な新機能と拡張機能が搭載されており、現在 Pro Tools をご利用で、有効なサブスクリプションまたは永続版ソフトウェア・アップデート+サポート・プランをお持ちのすべての方に提供されます。このリリースでは、Pro Tools の新しい無償バージョンである Pro Tools Intro も導入されています。
Pro Tools 2022.9 の新機能:
- Pro Tools Intro は、DAW による音楽制作が初めての方に最適な Pro Tools の新しい無償バージョンで、音楽制作に必要なすべてのオーディオおよび MIDI ツールを備え、36のコア・エフェクトとインストゥルメント・プラグインが含まれています。Pro Tools Intro は、ライセンスを更新しないサブスクリプション・カスタマーのデフォルト・ロールバックにもなっています。詳細は Pro Tools Intro ブログ をご覧ください。
- ARA 2 Melodyne のサポート:世界的に使用されているピッチ/タイム・ツールセットが Pro Tools 編集ウィンドウに統合されます。詳細は ARA Melodyne ブログ をご覧ください。
- Aux I/O により、Pro Tools ソフトウェアと他のオーディオ・アプリ(Zoom、Apple Music、Dolby Atmos® Production Suite など)、および主要なプレイバック・エンジン以外の追加オーディオ・ハードウェア間でオーディオをストリーミングできます(macOSのみ)。
- SoundFlow Cloud Avid Edition は、すべての Pro Tools Studio 年間サブスクリプションと、有効なサポート・プランを持つすべての Pro Tools Studio 永続版ライセンスにも含まれるようになりました(SoundFlowは、以前は Pro Tools Flex 年間サブスクリプションと、有効なサポート・プランを持つ Pro Tools Ultimate 永続版ライセンスにのみ含まれていました)。
- その他の機能および改善点:
- タイムコード・オーバーレイ X/Y 設定:ビデオ・ウィンドウのタイムコード・オーバーレイの位置を微調整
- マーカー・カウント:999から32,000に増加
- クオンタイズ・ツールバー・コントロール:編集ウィンドウとMIDIエディタ・ウィンドウ
- その他
これらの新機能の使用方法については、 Pro Tools 2022.9-2022.10 What's New 日本語ガイド もご覧ください。
AUX I/O
Aux I/O は Pro Tools macOS の機能で、現在のプレイバック・エンジンに任意の Core Audio デバイスを追加の入出力として利用することができます。これらは、他のインターフェースと同様に、I/O 設定で追加デバイスとして表示されます。この機能は、バージョン(Pro Tools Ultimate、Studio、Artist)によって、利用できるチャンネル数が異なります。
Pro Tools Aux I/O ウィンドウ
このアイデアは、パンデミックが始まった頃に考え出されました。Zoom、NoMachine、Evercast といったものを Pro Tools に取り入れたいという話をあらゆるところから聞き、そのニーズは至るところにありました。開発中、同じマシン上のアプリケーションや他のハードウェア・インターフェース間でオーディオやりとりするなど、多くの問題をこの機能で解決できると気づきました。サウンド・ライブラリのオーディオをプレビューしたり、Apple MainStage で AU プラグインのオーディオにアクセスしたり、Dolby Atmos® Production Suite からバイノーラル・リレンダリングを取り込んでヘッドホンに送ったりするために使います。システム・オーディオを Pro Tools に簡単にルーティングすることもできます。
Aux I/O について理解することが重要です。Aux I/O は、セッション間でオーディオを送受信するためのユーティリティですが、メインのプレイバック・エンジンと同じ性能ではありません:レーテンシーは高くなり、プレイバック・パス間で整合が取れなくなるかもしれません。例えば、既存のトラックにサンプル精度でパンチインする場合、メインのプレイバック・エンジンを使用するのが最適です。Aux I/O を使用して Dolby Atmos Production Suite と送受信することもできますが、Dolby Audio Bridge をメインのプレイバック・エンジンとして使用するよりも、レイテンシーが高くなることに注意してください。
Aux I/O は、「プレイバック中のエラーを無視する」チェックボックスを備えており、メインのプレイバック・エンジンが重要なオーディオを再生する一方で、Aux I/O はより寛容で一時的なドロップアウトを許容することが可能です。
デバイスには、インターフェースとバーチャル・デバイスの主要な2種類があります。インターフェースにはインプットとアウトプットの両方があります。バーチャル・デバイスは、単なるオーディオ・パイプです。インプットとしても、アウトプットとしても使うことができます。OSのオーディオ・バスのようなものだと考えてください。Pro Tools は独自のバーチャル・デバイスをインストールし、64、32、16、6、そして2つの2チャンネル Core Audio デバイスとして表示されます。Pro Tools リファレンスガイド には、必要に応じて、各デバイスのデバイス・カウントとチャンネル・カウントを変更する方法が記載されています。
Aux I/O を開発する際の課題の1つは、デバイスをメインのプレイバック・エンジンと同期させることでした。インターフェースを使用する場合、メインのプレイバック・エンジンと Aux I/O デバイスの間で共通のクロックを適用することが重要です。これが不可能な場合、クロックがずれ、時間の経過とともにオーディオ信号の歪みが発生する可能性があることに注意してください。バーチャル・デバイスは外部からクロックを生成できないため、Pro Tools Audio Bridge にクロックを生成するための内部メカニズムを構築しています。つまり、Pro Tools Audio Bridge は、メインのプレイバック・エンジンに設定されているどのハードウェアとも、同期できるのです。Dolby Audio Bridge もこの内部クロッキング機能を利用することができます。他のバーチャル・デバイスにはこのメカニズムがなく、時間の経過とともに信号の歪みが発生する可能性が高いため、可能な限り Pro Tools Audio Bridge を使用することをお勧めします。
この機能のクリエイティブな使い方を色々試してみてください。可能性は無限大です。
Aux I/O とさまざまなワークフローを組み合わせた使い方をビデオでご紹介します。
(各動画上部のタイトルをクリックの上、YouTube上でご覧ください!)
タイムコード・オーバーレイX/Yスライダー
Pro Tools 2022.6 では、ビデオにタイムコード・オーバーレイ機能が搭載されました。これは、6つのプリセットを使用して、画像の境界線辺りにオーバーレイをすばやく配置するものです。しかし、6つのサイズではすべてに対応できないため、2022.9 では、X/Yスライダーでオーバーレイを微調整できる機能を追加しました。これにより、ディスプレイのマスキングを考慮する必要がある場合や、オーバーレイが思い通りに配置されない場合、任意の位置に自由に移動させることができます。
Pro Toolsタイムコード・オーバーレイX/Y コントロール
注意点としては、スライダーをそれぞれ0に設定しても、テキストが画面の中央に直接表示されるわけではないことです。スライダーの座標は、プリセットに基づいています。例えば、「左上」を選択し、X/Yスライダーを「0、0」に設定すると、テキストの左上隅が画面の中央に来ることになります。このようにするのは、様々なアスペクト比とテキスト・フォント・サイズの組み合わせすべてにおいて、プリセット位置を計算するのがはるかに簡単だからです。つまり、プリセットを使ってオーバーレイを大体の希望する位置に素早く設定し、XとYのスライダーを使って最適な位置に設定することができます。
32,000 マーカー
32,000のマーカー数には理由があります。そして、999では物足りないという人がいることは知っています。32,000は、特別なコーディングをせずに実現でき、かつ最も無限に近い数字でした。マーカーに関するちょっとした工夫が、今後の発展の伏線になればと思います。
32,000 Pro Toolsマーカー
編集ウィンドウとMIDIエディタ・ツールバーでのクオンタイズ・コントロール
2022.6 でのクオンタイズ機能の改善に基づき、Pro Tools 2022.9では、編集ウィンドウと MIDI エディタにクオンタイズ・コントロールを追加したことで、この重要な機能へよりアクセスしやすくなりました。
Pro Tools の編集ウィンドウと MIDI エディタ
Pro Tools の以前のバージョンでは、すべてのクオンタイズ機能は、イベント操作ウィンドウからアクセスできました。バージョン2022.6 では、クオンタイズ操作をトリガーするデフォルトのショートカット(Macでは Command + Option + 0、Windowsでは Ctrl + Alt + 0 )を追加しましたが、設定を確認、調整するには、イベント操作ウィンドウを開く必要がありました。新しいクオンタイズ・コントロールは、最も重要なクオンタイズ設定を編集ウィンドウと MIDI エディタ(ドック式とウィンドウの両方)のツールバー内に配置し、常に表示されるので(もちろん、必要に応じて隠すこともできます)、より迅速かつ容易に MIDI パフォーマンスを録音して編集できるようになります。
新しいツールバーの表示では、2つの主要なパラメータとともに、クォンタイズ・グリッドの値を確認し、設定することができます。「Q」ボタンはクォンタイズを実行し、「ギア」ボタンはイベント操作ウィンドウのクオンタイズ・ページを開き、より多くのパラメータに素早くアクセスでき、また、追加パラメータが有効であるかどうかも表示します。Pro Toolsでは、ツールバーのクオンタイズ・コントロールとイベント操作ウィンドウのクオンタイズ・ページで表示、調整されるクオンタイズ設定は同一であることに注意してください。このため、これらのいずれかの場所でパラメータを変更すると、もう一方でもすぐに反映されます。
Pro Tools 編集ウィンドウ・ツールバーのクオンタイズ・コントロール
Pro Tools MIDI エディタ・ツールバーのクオンタイズ・コントロール
クオンタイズ・コントロールは、イベント操作ウィンドウのクオンタイズ・ページをそのまま反映しているため、操作やオプションは同じです。
グリッド値は、8分音符や16分音符などの音価、グルーヴ、または 「小節|拍グリッドに従う」(2022.6で追加されたオプション)に設定することが可能です。
Pro Tools のクオンタイズ・グリッド・メニュー
最後のオプションは、現在のタイムライン・グリッドをクオンタイズ・グリッドとして使用するものです。タイムライン・グリッドは、ノートがクオンタイズされる位置の視覚的ガイドラインとして効果的に機能するため、直感的に使うことができます。さらに、Shift + -/+のショートカットキーを使ってタイムライン・グリッド値を増減することで、ワークフローを効率化することができます。詳細は Pro Tools 2022.6 ブログ をご覧ください。
Pro Tools の「小節|拍グリッドに従う」の例
クオンタイズ操作を調整するための、主な2つのパラメータがあります。ノート・グリッドや「小節|拍グリッドに従う」では、強さ(Strength)とスウィング(Swing)を調整できます。グルーヴでは、タイミング(Timing)とベロシティ(Velocity)を調整できます。
強さとスウィングを表示する Pro Tools のノート・グリッド
タイミングとベロシティを表示する Pro Toolsの グルーヴ・グリッド
「ギア」ボタンを押すと、イベント操作ウィンドウを開閉でき、さらに多くのパラメータを設定できます。もちろん、ショートカットキーの Option + 0(Mac)または Alt + 0(Windows)を使うことも可能です。これらの追加パラメータが有効な場合、このボタンは青く点灯します。
「ギア」ボタンを押してイベント操作ウィンドウを開く
クオンタイズの準備ができたらMIDIノートを、いくつか選択して「Q」ボタンをクリックするか、ショートカットキーの Command + Option + 0(Mac)または Ctrl + Alt + 0 (Windows ) を押します。エラスティック・オーディオ・イベントもクオンタイズできることを忘れないでください。
クオンタイズ・コントロールはデフォルトで表示されていますが、それぞれのツールバー・メニューを使って、いつでも表示と非表示を切り替えることができます。
ツールバー・メニューの Pro Tools クオンタイズ・コントロール
ツールバーのクオンタイズ・コントロールは、小さな追加機能のように見えますが、MIDI演奏を録音し、編集する際の一般的なステップを合理化することで、その小さな見た目以上の効果を発揮できると期待しています。
Soundflow Cloud Avid Edition が Pro Tools Studio にも付属されます
これまでPro Tools Flex年間サブスクリプションと有効なPro Tools Ultimate永続版ライセンスにのみ付属していたSoundFlow Cloud Avid Editionは、Pro Tools Studio年間サブスクリプション、および有効なサポート・プランを持つPro Tools Studio永続版ライセンスにも付属するようになりました。SoundFlow Cloud Avid Editionは、複雑でクリックの多い作業を1回のキー打ち、ボタン操作、ショートカットキーで実行できるようにする、ワークフロー・オートメーション・プラットフォームです。SoundFlow Cloud Avid Editionでは、ショートカットキー、MIDIコントローラー、HIDデバイス、OSC対応コントローラーにカスタムで割り当て、作動させられるPro Tools用の1,600以上のあらかじめ構築されたマクロとコマンドにアクセスすることが可能です。SoundFlowについて詳しくは こちら をご覧ください。
ご利用方法
Pro Tools 2022.9 に付属する ARA 2 Melodyne 統合機能、Melodyne インストーラーのアップデートは、現在 Pro Tools をご利用の方で、有効なサブスクリプションまたは永続版ソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべての方に提供されます。Avid Link からアップデートするか、Avid アカウントで検索してください。Pro Tools のソフトウェア・アップデート+サポート・プランを更新する必要がある場合、または最新バージョンに更新したい場合は、 こちら でオプションをご確認ください。また、Pro Toolsを初めてお使いになる方は、 30日間の無償トライアル で最新バージョンをお試しいただけます。このリリースの詳細については、Avid アカウントで利用可能な新しいドキュメントをご覧ください。
>Pro Tools 2022.9-2022.10 日本語ガイド (PDF)
Celemony、Melodyne、DNA Direct Note Access および ARA Audio Random Access は、Celemony Software GmbH の登録商標です。Dolby Atmos は、Dolby Laboratories の登録商標です。