Windows、Mac、iPhone、iPad用Sibeliusのアップデートをお届けします。今回のリリースには、個々の譜表に番号と名前を付けることができる新しい譜表名と、スコア上のオブジェクトをナビゲートする新しい方法が含まれます。また、いつものリリースと同様に、いくつかの細かい機能追加とバグ修正も含まれています。
Sibeliusを初めてお使いになる方は、1ヶ月間無料で使用できる デスクトップ用のSibelius Ultimateトライアル と、同じく1ヶ月間のSibelius Ultimateトライアルを含む 無料のiOSアプリ をダウンロードして、これらの機能をご確認ください。
Sibeliusのサブスクリプション、または有効なアップデートとサポート・プランをお持ちの方は、Avid Link、もしくは Avidマスター・アカウント からダウンロードすることで、デスクトップ・アップデートがご利用になれます。iOSでは、App Storeが自動的にSibeliusをすでにアップデートしている可能性がありますが、 App Storeでアップデートの有無をいつでも確認いただけます。
譜表名
長い間、大譜表に演奏者番号などのラベルを付けることは不可能でした。楽器名の改行を増やしたり、音部記号の左側に数字を重ねた新しい記号を作ったりして、似たようなラベルを作ることができました。
今回、譜表名を追加するための新しい方法を導入したので、これらの回避策は過去のものとなりました。Sibeliusにすでにあるパラダイムを再利用しているので、これらの作成と編集はなじみのあるものでしょう。これで、スコア上で次のようなことが簡単に行えるようになりました。
譜表名を追加するには、楽器名を追加するときと同じように、譜表の左側をダブルクリックするだけです。
また、必要な数字や文字を入力することができます。これを見つけやすくするために、大譜表のすぐ左側に表示される新しいクリックエリアを作りました。これらは、[表示] > [非表示] > [非表示のオブジェクト] でオンとオフを切り替えるか、コマンド検索で[非表示のオブジェクト]を検索して、オンとオフを切り替えることもできます。
ダブルクリックする場所を簡単に見つけられるようになり、空の譜表名と空の楽器名の両方が表示されるようになりました(長年の不満が解消されました!)。
譜表名は、フルもしくはショート(短縮)の楽器名を使用する場合、それぞれ異なります([外観] > [楽器名と譜表名] で切り替えることができます)。譜表名をスコアの冒頭に追加し、その後のシステムで再度設定するだけです。
スコア上で後にこれらをリセットするには、楽器の変更を追加することで、譜表名のセットも新しくなります。
Sibeliusの優れた点は、譜表名は大譜表に追従し、楽器名は新しいマグネティックレイアウトのオプションで譜表を避けることができる点です。今回初めて楽器名のマグネティックレイアウトのプロパティを設定、コントロールできるようになりました。また、楽器名の垂直方向の位置も修正され、常にそのグループ内の大譜表の中央に表示されるようになりました。
新しい譜表名には独自のテキストスタイルがあり、楽器名のデフォルトを継承しています。これにより、楽器名と譜表名の全体的な外観を設定しながら、必要に応じてスタイルや書式を個別に設定することができます。
ManuScript プラグインのサポート
ManuScript 内で、以下の読み書き変数にアクセスできるようになりました。
タブ・オブジェクトの表示- ViewAnnotations
- ViewAttachmentLines
- ViewBarNumbers
- ViewComments
- ViewHandles
- ViewHiddenObjects
- ViewLayoutMarks
- ViewPageMargins
- ViewPlaybackLine
- ViewReplayMarker
- ViewHighlights (この変数はすでにありましたが、書き込みができませんでした。)
- FullStaffName
- FullStaffNameWithFormatting
- ShortStaffName
- ShortStaffNameWithFormatting
*注:これらの変数は、スコアの冒頭に譜表名を設定するために使用します。
楽器変更オブジェクト**- FullInstrumentName
- FullInstrumentNameWithFormatting
- FullStaffName
- FullStaffNameWithFormatting
- ShortInstrumentName
- ShortInstrumentNameWithFormatting
- ShortStaffName
- ShortStaffNameWithFormatting
**注:楽器名や譜表名を初期値以外に設定する場合は、これらの変数を使用します。
ファイル形式
重要なのは、内部ファイルのバージョンを変更せずに新しい譜表名を導入したことです。これにより、2022.7で作成したファイルを以前のバージョンとしてエクスポートすることなく2022.9で開くことができますが、以前のバージョンでは譜表名について対応していないため、スコア上には表示されません。
一致する次の/前のオブジェクトを選択
Sibelius 2022.9では、次または前の類似オブジェクトを選択する新しい方法を導入しています。スコア上で選択したものと類似のものをさらに選択できるので、例えばシステム上のすべての歌詞を選択する場合に便利です。
この機能にはキーボードショートカットが設定されており、[ファイル] > [環境設定] > [キーボードショートカット] を選択して検索・設定することができます。[選択]カテゴリには、4つの新機能があります。
一致する次のオブジェクトを選択(水平方向)- Mac: Cmd + Shift + .
- Win: Ctrl + Shift + .
- Mac: Cmd + Shift + ,
- Win: Ctrl + Shift + ,
- Mac: Cmd + Shift + Option + .
- Win: Ctrl + Shift + Alt + .
- Mac: Cmd + Shift + Option + ,
- Win: Ctrl + Shift + Alt + ,
「水平方向」は選択した譜表の左から右へ、「垂直方向」は大譜表全体を上から下へ、そして左から右へ移動して該当するものを検索します。
これらは、次のコードネームやリハーサルマークを検索するのにも使えます(大きなスコアをナビゲートするのに便利ですので、お試しください!)。
その他の改善点と修正点
また、このリリースでは、その他の改善にも力を注いでいます。これらは、プログラムのさまざまな分野にまたがっています。
ダイナミックギター譜- 歌詞が両方のダイナミックギター譜に表示されなくなりました
- ダイナミックギター譜に独自の譜表名を設定できるようになりました
- ダイナミックギター・パートを抽出する際にSibeliusがクラッシュすることがなくなりました
- 新しいスコアを共有する際、手動でダッシュボードを開いていない場合は、利用規約に同意した後に閉じるようになりました
- 休符の音価を変更した際に[自動的に最適化]が発動しないよう修正しました
- リピート(D.C./D.S./To Coda)テキストスタイルがテキストギャラリーの「テンポ」カテゴリに追加されました音符の間隔/自動的に最適化
- テキスト内の改行がデスクトップからモバイルに引き継がれるようになりました
- モバイル版で、コマンド検索の「ページ番号のフィルター」が「変更されたページ番号をフィルター」と正しく表示されるようになりました
- ダイナミックパートは、正しいページサイズで印刷されるようになりました
- ビデオを全画面表示しているときに閉じて、スコアから削除しても、Sibeliusがクラッシュすることはなくなりました
- 一部のビデオファイルでは、ビデオウィンドウのサイズを変更することができませんでしたが、それができるようになりました
- ビデオの追加ダイアログボックスで、サポートされているすべてのファイル形式が表示されるようになりました (現時点では、サポートされているコーデックに変更はありません)
- MIDIキーボードにスライダー、フェーダー、パンのノブがある場合、再びサポートされるようになりました。[ファイル]>[環境設定]>[入力デバイス]のページで、お使いのキーボードが[入力マップ]ドロップダウンに表示されているか確認してください。これにより、MIDIキーボードからSibeliusを操作できるようになります。表示されていない場合は、[MIDIキーボード]を選択すると、一部の機能で動作します
- 垂直方向にページを表示しているとき、1行の譜表上のパッセージ選択を変更しても、Sibeliusが1ページ目に飛ぶことがなくなりました
- 非表示の調号は、既存の特殊な小節線の上に追加しても、二重の小節線を追加しないようになりました
- 再生辞書に追加された「sfz」は、その1音に対して、ダイナミックとアタックを200%増加させるエフェクトが設定されています
- 新たにサンプルスコアを追加しました。Lili Boulangerの「Vieille prière bouddhique」です。緻密で複雑な大判の楽譜をレイアウトする際に、Sibeliusがいかに柔軟で正確であるかを示すのに最適なスコアです
- MP3へのエクスポート時にSibeliusがクラッシュすることがなくなりました
- Sibelius Firstの「使用済み」ギャラリーがなくなる不具合が修正されました
- Windows、Mac、iOSに対応した信頼性の高いクラッシュレポート・システムを新たに追加しました。Sibeliusがクラッシュした場合、クラッシュレポートの送信を選択できるようになり、発生したクラッシュを収集、分析します。これにより、これからのSibeliusを、今よりももっと良く、より安定性のあるものにさせることができます
これで以上です。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。このリリースの新機能や改善点を楽しんでいただければ幸いです。そして、次のリリースに向けて取り組んでいることを近々お見せできるのが、待ち遠しいです。